「ナパヴァレーのワイン休日」という本が出ました。著者は濱本純さんという人。大手広告代理店を退社後,ナパにオフィスを構えてナパヴァレー文化の日本への紹介に尽力されているそうです。
本の内容はガイドブック的ではなく,ナパのライフスタイルを中心にしたもの。ああ,こんな暮らしをしてみたいなあと思うような話が,美しい写真と共につづられます。現地の雰囲気が分かるということではよく書けています。現地に行く前に読んでいくと,向こうでの過ごし方が大分変わるのではないかと思います。ただし,ワイナリの情報はあまり多くないので,弊サイトなどを参考にしていただけたらと思います。
1つだけ間違いを指摘しておきます。「パリスの審判」の書籍を元に映画「Bottle Shock」が作られたと書いてありますが,パリスの審判がChateau Montelenaからパリ・テイスティングの成功を元に独立してGrgich Hillsを作ったMike Grgich氏を中心としているのに対し,Bottle ShockはMontelenaのJim Barrett/Bo Barrettを中心にした別のものです。パリスの審判を元にした映画は別途作られる予定なのでお間違いなく。
本の内容はガイドブック的ではなく,ナパのライフスタイルを中心にしたもの。ああ,こんな暮らしをしてみたいなあと思うような話が,美しい写真と共につづられます。現地の雰囲気が分かるということではよく書けています。現地に行く前に読んでいくと,向こうでの過ごし方が大分変わるのではないかと思います。ただし,ワイナリの情報はあまり多くないので,弊サイトなどを参考にしていただけたらと思います。
1つだけ間違いを指摘しておきます。「パリスの審判」の書籍を元に映画「Bottle Shock」が作られたと書いてありますが,パリスの審判がChateau Montelenaからパリ・テイスティングの成功を元に独立してGrgich Hillsを作ったMike Grgich氏を中心としているのに対し,Bottle ShockはMontelenaのJim Barrett/Bo Barrettを中心にした別のものです。パリスの審判を元にした映画は別途作られる予定なのでお間違いなく。
ナパヴァレーのワイン休日―ワイナリーが織りなす究極のスローライフ
濱本 純
樹立社
¥ 1,890 (定価)
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| ワイナリーが織りなす究極のスローライフ 著者:濱本純出版社:樹立社サイズ:単行本ページ数:189p発行年月:2008年03月付属資料:地図この著者の新着メールを登録する【内容情報】(「BOOK」データベースより)カ… |
01/30: 読書感想「東京大学応援部物語」
最近では星新一の伝記
で話題を呼んだ最相葉月さんの本です。平成14年の東京大学応援部を舞台にしたノンフィクションです。
ノンフィクションなのにタイトルには「物語」。筆者はその理由を明記していませんが,私はこれが応援部という一種の“おとぎの国”の話だからなのだろうと思います。体育会でありながら,他者の応援という間接的な形でしかスポーツにかかわれない応援部はそもそもの成り立ちが微妙な上に,東京大学においては勝利という形で報われることがほとんどないため,「応援」そのものの美学を追求せざるを得ない立場にあります。
そして,事実は小説より奇なりといいますが,この年の応援部も,筆者のために作ったかのようにドラマチックです(もちろんそんなことあるはずもありませんが)。
ネタばれになるので,これ以上は書きませんが,僕はこの本を読んで不覚にも涙が止まらなくなりました(しかも電車の中で!)。
スポーツ物が好きな人ならはまれると思います。
なお,単行本と2007年に出た文庫本がありますが,文庫本にはおとぎの国のその後についても報告があるそうです。どうやら本当に,おとぎの国になってしまったらしい。登場人物の写真を使った単行本と,かわいい絵になってしまった文庫本との落差もそのあたりにあるのでしょう。
ノンフィクションなのにタイトルには「物語」。筆者はその理由を明記していませんが,私はこれが応援部という一種の“おとぎの国”の話だからなのだろうと思います。体育会でありながら,他者の応援という間接的な形でしかスポーツにかかわれない応援部はそもそもの成り立ちが微妙な上に,東京大学においては勝利という形で報われることがほとんどないため,「応援」そのものの美学を追求せざるを得ない立場にあります。
そして,事実は小説より奇なりといいますが,この年の応援部も,筆者のために作ったかのようにドラマチックです(もちろんそんなことあるはずもありませんが)。
ネタばれになるので,これ以上は書きませんが,僕はこの本を読んで不覚にも涙が止まらなくなりました(しかも電車の中で!)。
スポーツ物が好きな人ならはまれると思います。
なお,単行本と2007年に出た文庫本がありますが,文庫本にはおとぎの国のその後についても報告があるそうです。どうやら本当に,おとぎの国になってしまったらしい。登場人物の写真を使った単行本と,かわいい絵になってしまった文庫本との落差もそのあたりにあるのでしょう。
東京大学応援部物語
最相 葉月
集英社
2003/09
¥ 1,575 (定価)
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最相 葉月
集英社
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東京大学応援部物語 (新潮文庫 さ 53-4)
最相 葉月
新潮社
2007/10
¥ 420 (定価)
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最相 葉月
新潮社
2007/10
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11/05: 話を聞かない男
たまには戯言記事を。
この人の文章は面白いなあ。特にこのパラグラフの最後の「父曰く、ひとの話を聞かないのは主義らしい。聞かなイズム。聞けよ。」のとことか。もうちょっとまっとうな道に行った方がいいとは思うけど。
まあ,この父も面白いよね。普通は聞いてなくてもそんなの宣言しないか「聞いてるよ」っていうと思う。この父にしてこの子ありか。
久々に普通にブログ読んでて吹き出しました。
"父が唐突に、「『お父さんはちっともひとの話を聞いてない』と、おまえのお母さんによくなじられるが、たしかに父さん、ひとの話なんか全然聞いてないんだ」と宣言する。"
ビロウな話で恐縮です日記 結婚式に行く
この人の文章は面白いなあ。特にこのパラグラフの最後の「父曰く、ひとの話を聞かないのは主義らしい。聞かなイズム。聞けよ。」のとことか。もうちょっとまっとうな道に行った方がいいとは思うけど。
まあ,この父も面白いよね。普通は聞いてなくてもそんなの宣言しないか「聞いてるよ」っていうと思う。この父にしてこの子ありか。
久々に普通にブログ読んでて吹き出しました。
09/20: 読書――「十九の春」を探して
三線引きの端くれとして,「十九の春」はときどき弾くことがあります。古くは田端義夫が歌ってヒットしたことで知られていますが,近年では「ナビィの恋」で,この歌が主役と言ってもいいほど重要な位置を占めており,それで知った人も多いかもしれません。これほど有名な曲でありながら,弾く側に立ってみるとちょっとあれっというところもあります。
この曲は沖縄のメロディではありません。ヤマト(本土)の演歌に近い感じがします。そして歌詞も沖縄の言葉ではありません。唯一「同じコザ市に住みながら」の部分が沖縄固有な部分です。「奥山住まいのウグイスは」といった歌詞も沖縄というよりもヤマトを感じさせます。どうしてこれが沖縄の曲なんだろう,というのは私にとっても以前からの疑問でありました。さらに,私が持っているいくつかのCDにこの曲は収録されていますが,歌詞が少しずつ違うのも不思議な気がしていました。
この本の著者である川井龍介さんは,奄美大島の有名な唄者朝崎郁恵さんが歌う十九の春を聞いたことから,そのルーツを求める旅を始めました。朝崎さんの父親が戦争中に米軍の魚雷で沈められた輸送船「嘉義丸」を悼んで作った「嘉義丸のうた」が「十九の春」と同じメロディであり,そこが旅の出発点でした。
ただ,「嘉義丸のうた」は奄美地方のごく一部,加計呂麻島だけで知られた歌。それが他の地域に伝わったとは思えません。別のルーツを探すうちに,与論島,与那国島,コザの売春婦といった,様々な可能性が見つかります。また,その過程で様々な人との出会いがあり,歴史との出会いがあります。
結局著者は完全な道筋を得るには至らなかったのですが,これが無駄な旅であったわけではありません。筆者は大阪から台湾にまでつながる「航路」としての関係を挙げていますが,私はむしろ奄美大島のはずれにある加計呂麻島,鹿児島と沖縄の境にある与論,沖縄と台湾の境にある与那国,コザの歓楽街,と何かしら「場末」を感じさせるところでこのメロディが歌われてきたことに興味を持ちました。
謎が明らかになる快感という意味ではちょっと欲求不満が残る人もいるだろうとは思いますが,民謡のルーツ探しというのは,話がすっきりしすぎないのもまたいいのではないかという気もしました。これまでよりも,この歌を大事にしなければ,とも感じました。

「十九の春」を探して うたに刻まれたもう一つの戦後史
livedoor BOOKS
書評/ルポルタージュ


朝崎郁恵さんの「十九の春」と「嘉義丸のうた」が収録された唯一のアルバムはこれ
この曲は沖縄のメロディではありません。ヤマト(本土)の演歌に近い感じがします。そして歌詞も沖縄の言葉ではありません。唯一「同じコザ市に住みながら」の部分が沖縄固有な部分です。「奥山住まいのウグイスは」といった歌詞も沖縄というよりもヤマトを感じさせます。どうしてこれが沖縄の曲なんだろう,というのは私にとっても以前からの疑問でありました。さらに,私が持っているいくつかのCDにこの曲は収録されていますが,歌詞が少しずつ違うのも不思議な気がしていました。
この本の著者である川井龍介さんは,奄美大島の有名な唄者朝崎郁恵さんが歌う十九の春を聞いたことから,そのルーツを求める旅を始めました。朝崎さんの父親が戦争中に米軍の魚雷で沈められた輸送船「嘉義丸」を悼んで作った「嘉義丸のうた」が「十九の春」と同じメロディであり,そこが旅の出発点でした。
ただ,「嘉義丸のうた」は奄美地方のごく一部,加計呂麻島だけで知られた歌。それが他の地域に伝わったとは思えません。別のルーツを探すうちに,与論島,与那国島,コザの売春婦といった,様々な可能性が見つかります。また,その過程で様々な人との出会いがあり,歴史との出会いがあります。
結局著者は完全な道筋を得るには至らなかったのですが,これが無駄な旅であったわけではありません。筆者は大阪から台湾にまでつながる「航路」としての関係を挙げていますが,私はむしろ奄美大島のはずれにある加計呂麻島,鹿児島と沖縄の境にある与論,沖縄と台湾の境にある与那国,コザの歓楽街,と何かしら「場末」を感じさせるところでこのメロディが歌われてきたことに興味を持ちました。
謎が明らかになる快感という意味ではちょっと欲求不満が残る人もいるだろうとは思いますが,民謡のルーツ探しというのは,話がすっきりしすぎないのもまたいいのではないかという気もしました。これまでよりも,この歌を大事にしなければ,とも感じました。

「十九の春」を探して うたに刻まれたもう一つの戦後史
- 川井 龍介
- 講談社
- 1785円
livedoor BOOKS
書評/ルポルタージュ


朝崎郁恵さんの「十九の春」と「嘉義丸のうた」が収録された唯一のアルバムはこれ
おぼくり
朝崎郁恵
EMIミュージック・ジャパン
2005/05/18
¥ 3,000 (定価)
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CD
(価格・在庫状況は7月5日 11:26現在)
朝崎郁恵
EMIミュージック・ジャパン
2005/05/18
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ナビィの恋
バンダイビジュアル
2000/08/25
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バンダイビジュアル
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梅と兵隊/十九の春
田端義夫、南条歌美、福島正二、本竹裕助、小谷充
テイチクエンタテインメント
2005/12/07
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田端義夫、南条歌美、福島正二、本竹裕助、小谷充
テイチクエンタテインメント
2005/12/07
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沖縄県南部,ひめゆりの塔から500mほど離れたところに「琉風之塔」という慰霊塔があります。戦争で亡くなった沖縄の気象台職員を祭っています。では,沖縄戦と気象台はどういう関係だったのでしょう。
沖縄戦について精力的に名著を書き続けている田村洋三さんの作品に「特攻に殉ず――地方気象台の沖縄戦」という本があるのは知っていました。ただ,もう一つピンと来ず,敬遠していたところもあるのですが,先日やっとこれを読んでみました。そして,この中の重要な登場人物である矢崎好夫さんが書いた「八月十五日の天気図―沖縄戦海軍気象士官の手記 」も。
これでやっと自分の中でいろいろなものがつながってきた感じがしました。
神風特攻隊について聞いたことがない人はいないと思いますが,特攻隊のほとんどは沖縄めがけて特攻しにいっていたことはご存知でしょうか(ちなみに神風~は海軍の名称)。特攻隊が始まったのはフィリピン戦ですが,それが大々的に作戦として実行されたのは沖縄戦でした。有名な知覧などが沖縄に向かって飛び立つ基地があったところです。このとき,爆弾を抱えた小型機にとって大事なのが天気。晴れ渡っていたらすぐに発見されてしまいますし,雲が多すぎたら相手の位置を把握できません。また,途中に前線があると飛行に大きな障害となりました。
そこで,特攻隊のために沖縄“現地”の天気予報を発信し続けたのが気象台や海軍・陸軍の気象兵だったのです。
沖縄戦について精力的に名著を書き続けている田村洋三さんの作品に「特攻に殉ず――地方気象台の沖縄戦」という本があるのは知っていました。ただ,もう一つピンと来ず,敬遠していたところもあるのですが,先日やっとこれを読んでみました。そして,この中の重要な登場人物である矢崎好夫さんが書いた「八月十五日の天気図―沖縄戦海軍気象士官の手記 」も。
これでやっと自分の中でいろいろなものがつながってきた感じがしました。
神風特攻隊について聞いたことがない人はいないと思いますが,特攻隊のほとんどは沖縄めがけて特攻しにいっていたことはご存知でしょうか(ちなみに神風~は海軍の名称)。特攻隊が始まったのはフィリピン戦ですが,それが大々的に作戦として実行されたのは沖縄戦でした。有名な知覧などが沖縄に向かって飛び立つ基地があったところです。このとき,爆弾を抱えた小型機にとって大事なのが天気。晴れ渡っていたらすぐに発見されてしまいますし,雲が多すぎたら相手の位置を把握できません。また,途中に前線があると飛行に大きな障害となりました。
そこで,特攻隊のために沖縄“現地”の天気予報を発信し続けたのが気象台や海軍・陸軍の気象兵だったのです。
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06/24: 沖縄・集団自決の軍強制についてうんぬんする前に
ブログを始めてから,6月23日の慰霊の日の前後は沖縄戦について書くことが通例になっています。今年は特に教科書に集団自決の軍強制があったかどうかの記述に付いて,様々な議論が起こり,例年に増してきなくさい感じが強くなっています。
ここでは,その議論については取り上げませんが,集団自決うんぬん以前に,沖縄戦で何が起こったのか,住民が今なおその“呪縛”から逃れられないのはなぜなのか,ということをもっと知るべきだと思います。
そのために,ここでは本を一冊紹介します。「沖縄戦の絵―地上戦・命の記録」。沖縄戦の記憶を,多くの住民が絵に描き,それを集めたものです。発行は2006年6月。中には戦後60年以上,だれにも言ったことがなかった辛い経験を絵に描いた人もいます。
沖縄戦について現在残っている動画や写真はほとんどすべて米軍由来のもの。当然米軍視線であり,艦砲や機銃掃射の標的となった側からの視点はありません。絵はその点,より住民側に立ったものであり,「百聞は一見にしかず」を改めて思い知らされます。
あまりにショッキングで,子供の教育などに使うには難しいかもしれませんが,機会があったら手にとってみてください。
ここでは,その議論については取り上げませんが,集団自決うんぬん以前に,沖縄戦で何が起こったのか,住民が今なおその“呪縛”から逃れられないのはなぜなのか,ということをもっと知るべきだと思います。
そのために,ここでは本を一冊紹介します。「沖縄戦の絵―地上戦・命の記録」。沖縄戦の記憶を,多くの住民が絵に描き,それを集めたものです。発行は2006年6月。中には戦後60年以上,だれにも言ったことがなかった辛い経験を絵に描いた人もいます。
沖縄戦について現在残っている動画や写真はほとんどすべて米軍由来のもの。当然米軍視線であり,艦砲や機銃掃射の標的となった側からの視点はありません。絵はその点,より住民側に立ったものであり,「百聞は一見にしかず」を改めて思い知らされます。
あまりにショッキングで,子供の教育などに使うには難しいかもしれませんが,機会があったら手にとってみてください。
沖縄戦の絵―地上戦・命の記録
NHK沖縄放送局
日本放送出版協会
2006/06
¥ 1,470 (定価)
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14pt (Amazonポイント)
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(価格・在庫状況は7月4日 23:43現在)
NHK沖縄放送局
日本放送出版協会
2006/06
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05/21: 読書感想:「ワインの帝王ロバート・パーカー」
言わずと知れたワイン評論家Robert Parker氏(以下敬称略)の半生を綴った伝記です。特に興味深いのはパーカーがワインを飲み始めた1967年からWine Advocateを創刊する1978年までのところ。先日紹介した「パリスの審判」と重なるところも多く,1960年代から70年代にかけて西海岸ではワイン作りが,東海岸ではワインを飲むことが発展していった様子がうかがえます。
読み物的なクライマックスは1982年のボルドーの評価をめぐるあたりでしょうか。ワインのレビューを書く人も,それまでは群雄割拠たる状況だったのが,このヴィンテージを境にパーカーの一人勝ちになっていったことが描き出されています。
それ以降はむしろ,自らが想像する以上に力を持つようになってしまったパーカーと周囲との軋轢に多くが割かれています。
個人的にはパーカーのことは好きです。まじめで実直であり,テイスティングについては何より一貫性があります。ただ,その生真面目さとやや単一的な価値観,自らの信念に向かって強烈にものを進める部分は一種ブッシュと重なるところを感じてしまいました。
また,これからどうなっていくかを考えると,パーカーの時代というのはそれほど遠くないうちに崩れていくような気がします。一番大きな理由は,一人で全世界をカバーできないこと。もちろん,Wine Advocate誌にはParker以外のReviewerもいますが,彼らがParkerと並ぶ信頼度を得ているかどうかというと,疑問です。また,パーカーが得意とするのはボルドーを中心とするカベルネ系が中心であり,現在急速に発展しているカリフォルニアのピノのような少量多種の世界ではないこと。こういった領域ではPinotReportのようなものの方が中心になっていくのではないかと思います。
まあ,これだけいろいろなことが語られるというだけでも,パーカーの存在の大きさは他を絶しているわけであり,パーカーをよく思う人,悪く思う人(特に悪く思う人は,ほとんどの悪口は既に言い尽くされていることは知っておいてほしいと思います),どちらにも読んでほしい本です。
読み物的なクライマックスは1982年のボルドーの評価をめぐるあたりでしょうか。ワインのレビューを書く人も,それまでは群雄割拠たる状況だったのが,このヴィンテージを境にパーカーの一人勝ちになっていったことが描き出されています。
それ以降はむしろ,自らが想像する以上に力を持つようになってしまったパーカーと周囲との軋轢に多くが割かれています。
個人的にはパーカーのことは好きです。まじめで実直であり,テイスティングについては何より一貫性があります。ただ,その生真面目さとやや単一的な価値観,自らの信念に向かって強烈にものを進める部分は一種ブッシュと重なるところを感じてしまいました。
また,これからどうなっていくかを考えると,パーカーの時代というのはそれほど遠くないうちに崩れていくような気がします。一番大きな理由は,一人で全世界をカバーできないこと。もちろん,Wine Advocate誌にはParker以外のReviewerもいますが,彼らがParkerと並ぶ信頼度を得ているかどうかというと,疑問です。また,パーカーが得意とするのはボルドーを中心とするカベルネ系が中心であり,現在急速に発展しているカリフォルニアのピノのような少量多種の世界ではないこと。こういった領域ではPinotReportのようなものの方が中心になっていくのではないかと思います。
まあ,これだけいろいろなことが語られるというだけでも,パーカーの存在の大きさは他を絶しているわけであり,パーカーをよく思う人,悪く思う人(特に悪く思う人は,ほとんどの悪口は既に言い尽くされていることは知っておいてほしいと思います),どちらにも読んでほしい本です。
ワインの帝王ロバート・パーカー
エリン マッコイ、Elin McCoy、立花 峰夫、立花 洋太
白水社
2006/11
¥ 3,570 (定価)
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35pt (Amazonポイント)
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★★★★ (Amazonおすすめ度)
単行本
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エリン マッコイ、Elin McCoy、立花 峰夫、立花 洋太
白水社
2006/11
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ワイン好き,特にカリフォルニアワインのファンならば1976年のパリ・テイスティングについて,全く知らないことはないと思います。カリフォルニアワインがブラインド・テイスティングでフランスのそうそうたるワインを抑えて一位になった「事件」です。これがきっかけで,「新世界」のワインだからといってフランスワインに劣るわけではないと,カリフォルニアのみならずオーストラリアやチリ,ニュージーランドなど様々な地域で世界品質を目指したワイン作りが行われるようになりました。言わば「フランスワイン至上主義」が崩れる最初の一歩だったのです。
本書の著者であるジョージ・M・テイバー氏は,そのパリ・テイスティングを取材した唯一のジャーナリスト。それもたまたま主催者のワイン学校に通っていたからというのがその縁。彼がTime誌に記事を書いたことで一躍この試飲会のことが世界に知られたのでした。本書は「生き証人」が当時の状況を記すというドキュメンタリーとして価値が高く,読み物としても非常に上質です。カリフォルニアワイン・ファンはもちろんのこと,すべてのワイン好きの方に読んで欲しいと思いました。
内容は大きく三つに分かれています。一つは言うまでもなくパリ・テイスティングそれ自体。試飲会が開催されるまでの経緯についても詳細に追っています。次に,試飲会にいたるまでのカリフォルニアワインの歴史。特に赤で1位になったスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのワレン・ウイニアルスキーと,シャトー・モンテレーナのジム・バーレット,マイク・ガーギッチの半生については詳しく書かれています。3番目は試飲会の巻き起こした影響としての世界のワイン生産者の動き。
試飲会の話では,これまで明らかになっていなかったこと,例えば白の試飲が終わった後,時間が押していて,赤の準備をしている間に白の結果が発表されたこと,などが書かれており,結果を知っていてもどきどきします。その場に居合わせた人が書くものだけに臨場感がとても高いです。
カリフォルニアワインの歴史のところも,当時の空気を上手に伝えています。例えば試飲会よりもさらに40年近く昔の禁酒法時代やその直後のころのワイン作りについて。当時は衛生観念も低かったため,すぐに腐ってしまうようなワインが中心でした。また,どの品種がどの地域に合うかといった考えもほとんどありませんでした。後年,「画一的」あるいは「化学ワイン」などとして非難されるUCデイヴィスによる様々な啓蒙は,このころのワインを知ることで初めてその意味合いが分かります。また,60年代から70年代にかけての新たな生産者の台頭。世界を目指すことを公言したRobert Mondaviを中心に,ナパ・バレー全体が手に手を取って高品質化にまい進していく様子が伺えます。決して試飲会の勝利はフロックでなかったのです。
三つ目の,後日談のところは,他の二つに比べると,多少平板な感じはありましたが,ジャーナリストとしてはどうしても押さえておきたいところだったのでしょう。
パリ・テイスティングについては,①フランスワインにとって不利な状況で行われた(若いワインではカリフォルニアが有利),②1位と2位の差はわずかであり,カリフォルニアが勝ったといっても統計的には意味がない,など様々な非難があります。筆者はこれらについては否定的。特に①については,主催者のスパリュアがフランスで商売をしている以上,フランスワインが勝つことを望んでいたとしています。このあたり,本書の筆者の立場からすると,自分が報じた歴史的イベントが否定的に取られるのは避けたいと思うのが自然であり,うがった見方をする人がいるかもしれません。本来なら「はめられた」審査員からの「真実」を聞いてみたい感はありますが,それが出てこないということは,やはり筆者の言うことが真実なのだろうと思います。
なお,本書の主な訳は葉山考太郎氏。訳文は悪くありませんが,ところどころ誤訳があるのは気になりました。例えばハイジ・バレット(訳ではバーレット)をスクリーミング・イーグルのオーナーとしていたり。固有名詞のカタカナにもバーレットのようにちょっと違和感があるものもありました。貴重な書籍だけに誤訳は次版で直ることを期待します。
本書の著者であるジョージ・M・テイバー氏は,そのパリ・テイスティングを取材した唯一のジャーナリスト。それもたまたま主催者のワイン学校に通っていたからというのがその縁。彼がTime誌に記事を書いたことで一躍この試飲会のことが世界に知られたのでした。本書は「生き証人」が当時の状況を記すというドキュメンタリーとして価値が高く,読み物としても非常に上質です。カリフォルニアワイン・ファンはもちろんのこと,すべてのワイン好きの方に読んで欲しいと思いました。
内容は大きく三つに分かれています。一つは言うまでもなくパリ・テイスティングそれ自体。試飲会が開催されるまでの経緯についても詳細に追っています。次に,試飲会にいたるまでのカリフォルニアワインの歴史。特に赤で1位になったスタッグス・リープ・ワイン・セラーズのワレン・ウイニアルスキーと,シャトー・モンテレーナのジム・バーレット,マイク・ガーギッチの半生については詳しく書かれています。3番目は試飲会の巻き起こした影響としての世界のワイン生産者の動き。
試飲会の話では,これまで明らかになっていなかったこと,例えば白の試飲が終わった後,時間が押していて,赤の準備をしている間に白の結果が発表されたこと,などが書かれており,結果を知っていてもどきどきします。その場に居合わせた人が書くものだけに臨場感がとても高いです。
カリフォルニアワインの歴史のところも,当時の空気を上手に伝えています。例えば試飲会よりもさらに40年近く昔の禁酒法時代やその直後のころのワイン作りについて。当時は衛生観念も低かったため,すぐに腐ってしまうようなワインが中心でした。また,どの品種がどの地域に合うかといった考えもほとんどありませんでした。後年,「画一的」あるいは「化学ワイン」などとして非難されるUCデイヴィスによる様々な啓蒙は,このころのワインを知ることで初めてその意味合いが分かります。また,60年代から70年代にかけての新たな生産者の台頭。世界を目指すことを公言したRobert Mondaviを中心に,ナパ・バレー全体が手に手を取って高品質化にまい進していく様子が伺えます。決して試飲会の勝利はフロックでなかったのです。
三つ目の,後日談のところは,他の二つに比べると,多少平板な感じはありましたが,ジャーナリストとしてはどうしても押さえておきたいところだったのでしょう。
パリ・テイスティングについては,①フランスワインにとって不利な状況で行われた(若いワインではカリフォルニアが有利),②1位と2位の差はわずかであり,カリフォルニアが勝ったといっても統計的には意味がない,など様々な非難があります。筆者はこれらについては否定的。特に①については,主催者のスパリュアがフランスで商売をしている以上,フランスワインが勝つことを望んでいたとしています。このあたり,本書の筆者の立場からすると,自分が報じた歴史的イベントが否定的に取られるのは避けたいと思うのが自然であり,うがった見方をする人がいるかもしれません。本来なら「はめられた」審査員からの「真実」を聞いてみたい感はありますが,それが出てこないということは,やはり筆者の言うことが真実なのだろうと思います。
なお,本書の主な訳は葉山考太郎氏。訳文は悪くありませんが,ところどころ誤訳があるのは気になりました。例えばハイジ・バレット(訳ではバーレット)をスクリーミング・イーグルのオーナーとしていたり。固有名詞のカタカナにもバーレットのようにちょっと違和感があるものもありました。貴重な書籍だけに誤訳は次版で直ることを期待します。
パリスの審判 カリフォルニア・ワインVSフランス・ワイン
ジョージ・M・テイバー、葉山 考太郎、山本 侑貴子
日経BP社
2007/04/26
¥ 2,520 (定価)
¥ 2,520 (Amazon価格)
25pt (Amazonポイント)
★★★★★ (私のおすすめ度)
★★★ (Amazonおすすめ度)
単行本
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ジョージ・M・テイバー、葉山 考太郎、山本 侑貴子
日経BP社
2007/04/26
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単行本
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