今日は何を飲もう,と思って勇んで開けたワインがブショネ(コルク臭)だったり,ワイン会に持っていったワインがブショネだったりしたら悲しいですよね。実はブショネのワインも,ある程度は救えるという話が二つの記事に載っていました。覚えておくと万が一ブショネに出くわしたときに感謝されるかも。
"Mel Knox, a San Francisco-based oak-barrel broker who represents French cooper Taransaud, says there is an easy solution, particularly when the cork taint is relatively mild."

Simple solution for cork taint - Los Angeles Times(要登録)

まず,LA Timesの記事ですが,そのものずばり「ブショネの簡単な解決法」というタイトルが付いています。方法は以下の通り

まずデカンタなどにサランラップなどのラップを30cmほど切り取って入れ,そこにワインを注ぎます。ワイン全体がラップに触れるように軽く混ぜます。5分から10分おいて味見をし,ブショネをまだ感じたら新しいラップに交換します。ブショネを感じなくなったら別のデカンタにワインを移して後は普通に飲めるようになります。

もう1つの記事には「ブショネのワインを直す方法,その実験」といったタイトルが付いています。


ここではブショネのワインを①そのまま,②Glad Fold-Top(Ziplocのバッグみたいなものです)と混ぜたもの(バッグは別のボトルに突っ込み,そこにワインを入れます),③同じようにボトルにスーパーの袋(買い物袋というより,日本だと野菜などを入れるのに使う薄い半透明の袋のように見えます)を30cm四方に切ったものを入れ,それに混ぜたもの,④使いさしの(でも有効期限は切れていない)Britaに入れたもの,と四つの方法で,しかも2分後と1時間後とを比較しています。

まず,2分後の結果から言うと④Brita>>②Glad Fold-Top>③スーパーの袋>>①オリジナル,でした。Britaに入れたものからはブショネは跡形もなく消えていたそうです。元のフレーバーが代わったかどうかはなんともいえないが,ワインは完全に楽しめるものになったとのことです。

そして1時間後。今度は③スーパーの袋>②Glad Fold-Top>④Brita>>①オリジナルという結果でした。③はすばらしく,②もほとんど変わらないもののごくわずかにオークあるいはコルクの印象があったとのこと。④Britaについてはブショネはなくなったものの②,③と比べると味がぼやけてしまったそうです。

ということで結論は,結果を急ぐならBrita,そうでないならスーパーの袋などに浸すということで,LA Timesの記事とほぼ一致しています。

どうしてこれらによってブショネが直るのかというとブショネの原因である2,4,6-TCAとポリエチレンが結び付きやすいからだそうです。また,後者の記事へのコメントとしてポリスチレンはもっと効果があるかもしれないとのこと。発泡スチロールも試してみる価値があるかもしれません。

なお,ポリエチレンとTCAが結び付く理由は以下のようなことだそうです(僕は化学は苦手なので…)。
I am a chemist and I can see why this might work. The compound identified as being responsible for cork taint is 2,4,6 - trichloroanisole which has got three chlorines and a methoxy group attached to a six-membered ring. This is an extremely non-polar compound which means that it would likely be attracted to other non-polar materials. Enter polyethylene - also an extremely non-polar material. Having a sheet of this material gives you a huge surface area and giving it enough contact time allows for the adsorption of the 2,4,6 - TCA onto the plastic.