今週サンフランシスコで開かれているアップルのWWDCでiOS6が発表されました。おそらく秋と噂されているiPhoneの次世代機と同時くらいに出てくるのでしょう。

このiOS6、巷ではちょっと期待はずれだったといった評価もあるようですが、個人的にはOSが1つの転回点に来ているのかもしれないと思っています。

OSの歴史を紐解いてみると、カーネル(プロセス管理とメモリ管理)というのが最初にあり、それに周辺機器管理、ファイルシステムが加わったというのが、初期のパソコンOSだったわけです(Unixも含んでいいでしょう)。

これにグラフィックスやユーザー・インタフェースといったものが加わって、従来のOSのコアの技術よりも、それら「サブシステム」と呼ばれるものが重要になっていったのが1995年のWindows 95以降でした。一方で、カーネル技術はこのあたりで進歩をほぼ止めています。Windowsのコア技術であるWindows NTは1993年、Mac OS Xのコア技術であるMachは1980年代に開発されたものです。

このサブシステムの時代というのは、一方でアプリケーション全盛の時代でもありました。サブシステムが1つ加わるごとに多くのAPIが作られ、それを使ったアプリケーションが多数登場する。これまでのiOSに関しても本質的にはその延長線上にあったと思っています。

iOS6ではAPIとして大きな影響を与えそうな機能はほとんどありません。せいぜいフォトストリームくらいでしょうか。アプリケーション・デベロッパにとっては肩透かしだったのか、ほっとしたのかそのあたりはよく分かりませんが、ともかくAPIはあまり増えそうにありません。

一方で、Facebook連携、新しい地図、Siriの強化、Passbookといった新機能には共通する特徴があります。どれもWebサービスと直結しているのです。しかも、Facebookや、Passbookに代表されるように、自社提供でないサービスとの連携が目立ちます。ここに来て、OSは、コンテンツの時代にいよいよ突入したのかと思う次第です。

この傾向がこのバージョンだけのものなのか、以降のバージョンや他のスマートフォン向けOSでも出てくるものなのか、元OSウォッチャーとしてはとても興味深いものがあります。