前回の続きです。

試飲ではラジャ・パーのSandhi、Domaine de la Côteのほか、マット・リックライダー(Matt Licklider)のLiocoのワインを味わいました。いずれもIPOBです。

また、IPOBのワインは食事に合わせることを主眼としているので、今回は銀座「逸喜優」の寿司と合わせていただいています。逸喜優は寿司とワインとのマリアージュを目指しているとのことで、干瓢巻きにオリーブオイルを付けていただくなど、ユニークな試みをしています。普段、試飲会ではなるべく飲まずに吐き出すようにしているのですが、今回は全部飲んでしまいました。

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IPOBのシャルドネは、酸がかなり強く、先にそれを味わうと麻痺してしまうとのことで、ピノ・ノワールが先、シャルドネが後で試飲しました。これも珍しいパターンです。

Liocoのピノ・ノワールはソノマ・コーストのLagunaというブレンドものの2012年とHirschの単一畑2011年を試飲しました。ここではピノ・ノワールは70%除梗、新樽15%で15カ月樽熟成しています。酵母は天然酵母のみ。新樽の比率については「シェフが塩加減するようなもの」と言っていたのが印象的でした。

Lagunaは赤系の果実味に加えておしろいやマシュマロのような風味があり、酸がしっかりしているのも印象的でした。この年は豊作でLagunaにHirschを少しブレンドしているといいます。一方でHirschはミネラルを強く感じるワイン。これはとてもいいです。先日Hirschのピノ・ノワールを飲みましたが、ミネラルなどは共通項として感じられました。Liocoはさらに溌剌とした感じが強くありました。

もう1つのピノ・ノワールはDomaine de la CôteのBloom's Field 2011。Domaine de la CoteはSta. Rita Hillsの自社畑のブドウによるワインです。20カ月の樽熟成の後、タンクで2カ月さらに寝かせてから瓶詰めしたといいます。発酵中はSO2を全く添加していないとのこと。新樽はなし。潮風のような香りとミネラルの風味が特徴的。Liocoのワインと比べると、やや濃くて黒系の果実を少し感じます。ちなみにCôteとはフランス語で海岸の意味。

シャルドネはLiocoのRussian River Valley 2011から。RRVでは一番涼しいところにある畑で、アルコール度数は12.8%とこの日試飲したワインの中でも一番低い値でした。2/3は古い樽、1/3はステンレスで熟成しています。青リンゴのような爽やかさを感じます。

Liocoには、もっと安いNorth CoastやSonoma Countyのシャルドネもありますが、実はどちらも、このRRVと同等のレベル。非常にコスト・パフォーマンスの高いシャルドネです。

SandhiはSta. Rita HillsのシャルドネとRita's Crownのシャルドネ。どちらも2011年。シャルドネは破砕・プレスして樽に入れて発酵するだけという極めてシンプルな作り方。新樽20%。発酵時にはSO2は加えないとのこと。ときどき空気に触れさせ、最初に果汁が茶色く酸化させてしまい、それから発酵させるという方法を取っています。こうすると、発酵中に還元によって色が戻り、再び酸化することはないそうです。

Sta. Rita Hillsのシャルドネは、この日のシャルドネの中では一番甘味を感じるもの。同時にミネラルも感じました。Rita's CrownとBentrockという畑のブドウを使っています。

一方で単一畑のRita's Crownは芳醇。果実味を強く感じます。この日のワインの中では一番アルコール度数が高く13.9%。

IPOBのワイン、単独で飲むよりもやはり食事と合わせることで本領を発揮するように思います。試飲しながらいつの間にか寿司もなくなっていました。どれも素直に美味しかったです。

個人的にはLiocoのシャルドネの安いものは、日常的に飲むワインの中に入れたいと思いました。ピノでは逆に、LiocoのHirschやDomane de la Côteの高いものに魅力を感じました。