Wines &camp; Vinesにロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールについて、興味深い記事が載っていました(Wine & Spirits Magazine | News & Features: Accounting for Taste)。

ロシアン・リバー・ヴァレーはカリフォルニアのピノ・ノワールの名産地であり、ウィリアムズ・セリエムやロキオリを初めとして、1990年代から2000年代初頭の黎明期を担ってきました。今でも、これらのワイナリーは素晴らしいピノ・ノワールを作っていますが、全般的に言えば、ロシアン・リバー・ヴァレーのピノ・ノワールは、アルコール度が高く、濃い味わいのワインになりがちです。これは気のせいというわけではなく、実際に以前は13%台のアルコール度だったワインが近年では14%台になったていることがしばしばあります。

この記事では、どうしてそうなっていったのかを、様々なワイナリーへと取材から分析しています。

例えば、剪定の方法の変化。かつては「California sprawl」と呼ばれる、雨傘のように開いた形の剪定が多く、ブドウの実は日影で成長していました。それが枝を縦に伸ばす剪定に変わったことで、ブドウの実が日光に直接さらされるようになっているといいます。

クローンの変化もあります。90年代後半から植え付けられることが増えていったDijonクローンは、熟すのが早く、涼しい土地に向いているといます。ロシアン・リバー・ヴァレーでは、やや強くなりすぎるようです。

また、ロキオリではかつて天然酵母で醸造していたのが、今は培養酵母に変わっています。天然酵母時代は糖度23で収穫したときに、アルコール度が12%くらいだったのが、今の酵母では13.9%にも達するとのことです。

このほか、気候の面でも、以前より気温が上昇しており、ロシアン・リバー・ヴァレーはリージョンIからリージョンIIに変わったというデータがあるそうです。

ただ、これら全てがネガティヴというわけではなく、例えば、剪定の変化はブドウの病気を減らしているそうです。メリー・エドワーズなど、IPOB的なアルコール度を下げる運動に懐疑的なワインメーカーもいます。

読み応えのある記事ですので、一読することをお勧めします。