米国のワイン業界にはDtCという言葉があります。日本では多分なじみがないと思うのですがDirect to Consumerの略。すなわちワイナリーから消費者に直接ワインを出荷することを指します。

米国ではいまだに禁酒法の名残があり、他州から直接ワインを送付することを禁じている州がいくつもあります。州内の酒類の流通を州内の流通業者に100%委ねることによって、流通をコントロールしたいということなのでしょう。

そのため、ワイナリーからの送付も州によってできたりできなかったりなのですが、それでも着実に増えているという報告が出ています(Wines & Vines - The Voice of the Wine Industry)。

それによると2015年のDtCによる売上は19億6666万8198ドルと、わずかに20億ドルを下回りました。これは2015年に比べると8.1%の増加となっています。2014年は前年の15%増でしたから、それよりは下ですが、2013年の前年比+7%を上回っています。

一部のワイナリーは、既に流通業者を使うのをやめ、DtCだけでワインを販売しています。それほどワイナリーにとってはDtCは重要になってきています。

また、元記事には上位の州ごとに、DtCで出荷されているワインの品種の比率トップ2が出ていて興味深い結果になっています。

カリフォルニア州の場合、一番多いのはピノ・ノワールの17%でカベルネ・ソーヴィニヨンが16%で2位。これがテキサスだとカベルネ・ソーヴィニヨンが19%で1位。2位は赤ブレンドで13%です。

上位の10州ではカベルネ・ソーヴィニヨンと赤ブレンド、ピノ・ノワールの3種類が上位2種類を占めています。しかし、この中でピノ・ノワールが2位以内に入っているのはカリフォルニアのほかはニューヨークとオレゴンのみです。やっぱり米国では赤ブレンドを含めたカベルネ系が好きな人が多いのだなあと思いました。

オレゴンはピノ・ノワールが32%と圧倒し、2位は赤ブレンドで10%でした。