Bedrock(ベッドロック)のモーガン・ピーターソンがパートナーのクリス・コトレルと初来日しました。幸運にもいろいろと話を伺う機会をいただきましたので、3回に分けてお届けしたいと思います。

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まずはモーガンが2011年に始めた新プロジェクト「Under the Wire」(アンダー・ザ・ワイヤー)。パートナーのクリス・コトレルは次のように語ります。
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クリス:カリフォルニアのスパークリングワインは大規模なところが大きい。一方でフランスではグロワーズ・シャンパーニュという小規模なシャンパーニュの動きがある。これにインスピレーションを受けて、単一畑でブドウも単一品種、ヴィンテージも混ぜないスパークリングワインを始めたのがこれだ。

クリス:畑はChalone(シャローン)の隣にあるBrosseau(ブロッソー)。実を言うと、モーガンは最初、そこのシャルドネでスチル・ワインを作るつもりだったんだ。ところが醸造してもアルコール度数が11度までしか上がらない。それだったらスパークリングワインにしてみたら、とひらめいたんだ。

モーガン:シャローンはカリフォルニアでは珍しい石灰岩の土地。酸が多く、pHが上がりにくいという特徴がある。18.5~19Brixで収穫している。一次発酵は自然酵母。使い古しの樽を使っている。

モーガン:大きなスパークリング・ワインのプロデューサーは、糖度を上げすぎないようにするため、非常に早く収穫してしまう。それに対してグロワーズ・シャンパーニュやアンダー・ザ・ワイヤーでは畑のテロワールを引き出すために、糖度がぎりぎりになるまで我慢して収穫する。Under the Wireというのは、電車などに「ぎりぎりまにあって」という意味の言葉だが、ここではぎりぎりになるまで我慢して収穫しているという意味を込めている。

こうしてできた2011年のアンダー・ザ・ワイヤーは6樽、150ケースのみ作られました(量が少ないため日本への輸入は未定)。ドサージュは1g/lと少なく、シャブリかと思うほどきりりとした味わい。泡は控えめ。生ガキに合わせたら良さそうに思いました。

アンダー・ザ・ワイヤーは、次ヴィンテージ以降畑を追加しています。2012年はアンダーソン・ヴァレーのAlder Springs(アルダー・スプリングス)のピノ・ノワール(ロゼ)。2013年にはHirsch(ハーシュ)のピノ・ノワールとブロッソーのピノ・ノワールと追加。2014年と2015年にはさらに増やしていて7つにまでなっています。ただし、1樽しか生産していないものがいくつかあるとのことで生産量は依然としてごくわずかです。

カリフォルニアのスパークリングに新しい風を吹き込むアンダー・ザ・ワイヤー、今後のラインナップにも期待したいです。