グレッグ・ハリントン(マスター・ソムリエ)
セミナーの後半はテイスティングです。多くの場合、セミナーでのテイスティングというと、そのワイナリーのワインを水平(同じヴィンテージで複数の種類)で試飲したり、垂直(同じワインの複数ヴィンテージ)で試飲したりするものですが、今回は趣向が違っており、グラマシー・セラーズのワインを同じ品種の他の地域のワインと試飲します。

品種はヴィオニエとシラーとカベルネ・ソーヴィニヨン。それぞれ3つずつのワインをブラインドでテイスティングし、どれがどのワインかを探ります。

まず、ヴィオニエはグラマシー・セラーズのコロンビア・ヴァレー2014と、コンドリューのドメーヌ・ピエール・ガイヤール2014、カリフォルニアからカレラのマウント・ハーラン2013です。
ヴィオニエのブラインド
グラマシー・セラーズのグレッグ・ハリントン氏は、実はヴィオニエがあまり好きではないとのこと。多くのヴィオニエはちょっととろっとした甘さを感じますが、それが苦手とのことで、そうでないヴィオニエを作ろうとしているとのことです。
ワシントンのAVA
大部分のブドウはレイク・シュラン(Lake Chelan)といって、三角形をしたコロンビア・ヴァレーのかなり北の方で西の端、カスケード山脈に近いため標高が高く気温が低い土地の畑から得ているそうです。

ブラインドしたワインは1番がオレンジや青草のような風味があり、2番めは飴やピーチ、3番めは花の香りとピーチの風味。上記の特徴から1番がグラマシー・セラーズだろうと思いました(正解)。2番と3番では3番の方が色が濃くてカレラかと思いましたが、実はそちらがコンドリュー、カレラは2番でした。

個人的には、グレッグ・ハリントン氏と同じでヴィオニエは自分で選ぶことはあまりないワイン。美味しいヴィオニエに当たる比率が低いという気もしています。今回のヴィオニエはどれも美味しかったですが、中でもグラマシー・セラーズのものは、おいしく感じられました。

次はシラー。グラマシー・セラーズからはザ・デュース2012年。あとはローヌのドメーヌ・ジャン・ルイ・シャーブのサン・ジョゼフ2012、オーストラリアのウィラ・ウィラ・ヴィンヤーズのRSW2012。
シラーのブラインド
ザ・デュースというのはワラワラヴァレーのワインで「Walla Walla」と同じ単語が2つつながることから名付けたとのこと。2012年のものは80%除梗なしで作られています。除梗しないブドウを使うことにはかなりこだわりを持っているようで、「多くのワイナリーは除梗しないときに、枝の色が茶色になったら収穫する、などとしているが、枝の色は関係ない。ブドウの味を見て決めている」そうです。茎が緑色のまま入れることもあるので、他のワイナリーのワインメーカーが見るとビックリするのだとか。

ブラインドでは1番は色が一番濃く、アルコールをちょっと感じる作り。2番は色が薄めで明るい味わい。オレンジやペッパーの風味。3番はスパイシーでタニック。やや重めの味わい。

最初は1番がオーストラリアっぽい気がしたのですが、ヒントがあり、1番はローヌにしました(正解)。一番エレガント系の2番がグラマシーかと思ったら、これがオーストラリア。3番がグラマシーでした。全房発酵の比率が高いのがタニックに感じた理由でしょうか。ちなみにWine Advocate誌では93点です。

最後はカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインです。グラマシー・セラーズはコロンビア・ヴァレー2012、ボルドーのサン・ジュリアンからはクロ・デュ・マルキ2012、カリフォルニアからはダックホーンのナパ・ヴァレー2012年です。グラマシー・セラーズとダックホーンはカベルネ・ソーヴィニヨンが90%以上、クロ・デュ・マルキはメルローが30%入っています。
カベルネのブラインド

1番はブルーベリーやオレンジの風味にまろやかなタンニン、ヴァニラの風味。2番はややタニックでカシスやペッパーの風味。3番は酸がやや強く感じました。

1番は迷わずダックホーン。ナパらしいおいしいカベルネ・ソーヴィニヨンです。個人的には非常に安心して飲める味わい。2番と3番はかなり迷って2番をクロ・デュ・マルキ、3番をグラマシー・セラーズとしましたが、逆でした。なお、グラマシー・セラーズのカベルネ・ソーヴィニヨンはWine Advocate誌で94点。

今振り返ってみると、グラマシー・セラーズのものはシラーもカベルネ・ソーヴィニヨンもタンニンが結構しっかりしている印象があります。カリフォルニアのようなまろやかな感じではないのは全房発酵の比率のせいでしょうか(カベルネ・ソーヴィニヨンについては比率は不明です)。カリフォルニアワインとは大分イメージが違う感じがしました。

それにしてもブラインドは、どれも1つしか当たらず、グラマシー・セラーズのワインも1つしか当てられませんでした。初めて飲むのだから仕方ないですが、もうちょっとしっかり当てられるようになりたいものです。

というわけで、少しはワシントン州のワインの勉強になったでしょうか。個人的にはもうちょっといろいろ勉強・経験して、ちゃんと選べるようになりたいと思いました。