昨年のIPOB日本ツアーの際にお会いしたワイナリーの方々に、IPOBの解散について質問してみました。どれだけ回答が返ってくるかわかりませんが、その都度、報告したいと思います。

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最初に返ってきたのはスティーブ・マサイアソン。2014年にはSFクロニクルのワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほどの才人です。

スティーブ・マサイアソン

IPOBの解散は確かに悲しいニュースだった。だけど、IPOBの主目的は達成できたという点については同意している。この5年で非常に多くのことが変わった。ほとんどがいい方向への変化だ。

――IPOBは失敗だったと思いますか?
IPOBは目覚ましい成功だった。カリフォルニアのテロワールにおいてリッチでアルコール度数が高いワインだけでなく、うまみやミネラルがあり、フレッシュな味わいでアルコール度数が中庸で熟成によってよくなっていき、食事に合うワインができるということ、そのように非常に多様なワインが作られるという一部の人達が忘れていたことを思い出させてくれた。

――今がIPOBをやめるいいタイミングだと思いますか?
IPOBはとても小さな団体で、予算も少なく、運営しているのは、自らの生計もたてていかないといけない忙しいワイナリーの人たちだ。できることには限りがある。IPOBは議論を始めるのを手助けした。まだいろいろなことができただろうが、そろそろ運営の人たちがほかのことに目を向けるタイミングだということだろう。

――この5年間で「バランスがとれた」ワインを飲む人は増えましたか?
もちろん。バランスがとれたワインへの認知と愛好は爆発的に増えた。

――IPOBに参加した目的は何でしたか?
私は自分のワインのニッチなマーケットを探すのに苦労していた。そこでIPOBに参加すれば、その波に乗れるのではないかと考えた。そして、カリフォルニアでバランスが取れたワインのために奮闘しているワイナリーがあることを知ってもらう活動に参加したいと思ったのだ。

――昨年の日本ツアーのあと、日本での認知は進みましたか?
はい。ただ、これは一気に進むものではない。業界やワインの専門家にはよく届いたと思う。しかし一般のコンシューマーにまでそれを広げるのには時間がかかる。

――IPOBがなくなった後、バランスが取れたワインの啓蒙活動をどのようにしていくつもりですか。
まずは、自分のワインをバランスの取れたものに作るのが一番。そしてワインがそれ自身で語ってくれるようになると思う。

ご回答ありがとうございました。