先日、トカロン・ヴィンヤードについて書いたところですが、タイミングよく?、ベクストファー・トカロンがこれから10年ほどかけて畑の植え替えをするという話が入ってきました(Beckstoffer to Redevelop To Kalon Vineyard)。

Napa Valley

ベクストファー・トカロンはハミルトン・クラブが最初に畑を作った1868年の区画に含まれる畑。1993年にボーリュー・ヴィンヤード(Beaulieu Vineyard=BV)からベクストファーが入手し、1994~1997年にかけて植樹しました。ちなみにBV時代は「#4」と呼ばれていました。

畑は全部で89エーカーありますが、ブドウの木が植わっているところは83エーカーのようです。そこを2018年の12エーカーから植え替えていくとのこと。2028年までかける計画となっています。

植え替えの理由は収量の低下。最初に植え替えする領域では2014年に1エーカーあたり2.7トンの収穫があったものが、2015年は2トン、2016年は1.4トンにまで下がったそうです。例えば最初の植え替え対象になっているB2というブロックでは、全く実をつけない幹が9%もあったとのこと。トカロンの中でも、3.5%にとどまっているところもあり、大分力が落ちてきているようです。

現在、最初の植え替え対象のブロック(A2、B2)に植わっているのはクローン4というカベルネ・ソーヴィニヨンですが、植え替えに使うのはそれよりわずかに「クリーンアップ」したという4.1。ルートストックは039-16からGRN-3へ、列の向きは325°NW×SEから55°NE×SWとほぼ直角に変わるようです。これは、真夏の夕方の強い日差しの時間帯にブドウの実に直射日光が当たらないようにするためとのこと。木の間隔は8×7フィートから7×5フィートと狭くなります。剪定はバイラテラルコルドンで同じですが、クロスアームを使うとのこと。

現在、ベクストファー・トカロンの顧客は20ワイナリー。収穫1トンあたり平均2万ドルを支払っているそうです。植え替え後、次の収穫開始まで2、3年はかかりますから、その間、ベクストファーとしては1エーカーあたり4万~6万ドルほども収入が低下することになります。

また、ワイナリーへの割当はブロックごとに決まっているのですが、植え替え中は他のブロックのワイナリーへの割当を減らして、植え替え中のブロックのワイナリーに回すとのこと。アンディ・ベクストファーは、これまでの2/3を下回らないようにしたいとしており、他のワイナリーもその方法に納得しているとのことです。

植え替えで樹が若くなることの影響はどうなのでしょうね。間違いなくカリフォルニアで一番高価なブドウの畑ですので、気になるところです。