リッジのCEO兼ワインメーカーであるポール・ドレーパーが2016年6月末をもって引退を発表しました(paul-draper-ridge-ceo-winemaker-retire/)。今後も会長としてリッジにとどまるものの、仕事は基本的にはすべて移譲する形になります。
Paul Draper

併せて発表された引き継ぎプランによると、社長兼COOだったマーク・バーノンがCEOに、モンテベッロのワインメーカーで副社長だったエリック・バウアーがモンテベッロのワインメーカー兼COOに、リットン・スプリングスのワインメーカー兼副社長だったジョン・オルニーがリットン・スプリングスのワインメーカー兼COOになります。

また、畑管理の副社長だったデビッド・ゲイツが畑管理の上級副社長に昇格します。

ポール・ドレーパーは「エリックとジョンは、私のガイダンスの下、それぞれのワイナリーを長い間率いてきた。大事な決定は一緒にやってきたが、過去10年、ワイナリーの日々の運営を司ってきたのは彼らだ。もう、私のワインではなく、彼らのワインだ。そして、リッジの50年の歴史の中で、この10年が最も安定していいワインを作っているのだ」と移行への不安がないことを強調しています。実際、デビッド・ゲイツは1989年、エリック・バウアーは1994年、ジョン・オルニーが1996年にリッジに入社しており、いずれも20年以上のキャリアを積み重ねています。

ポール・ドレーパーはスタンフォード大学で哲学を学んだ後、イタリアやフランスに行き、その後チリで3年間ワイン作りをしました。1969年にカリフォルニアに戻ってリッジのワインメーカーに抜擢。以来、リッジの顔として活躍してきました。

今年40周年記念を迎えたパリ・テイスティングには唯一ナパ以外の赤ワインとして名を連ねており、2006年に行われた30周年記念で、同じヴィンテージのワインを使った試飲では見事1位となって、その高い熟成能力を示しました。

ポール・ドレーパーの引退はとても寂しく、残念ではあります。しかし、後継をしっかり育て上げ、後の憂いなく、これまでの伝統を引き継ぐことを宣言した今回の引退宣言もポール・ドレーパーらしく、改めて尊敬の念を強くしました。