ナパの4日めはクリフ・レイディに行った後、モリモトでワインと食べ物のマッチング、その次はホーニッグでランチです。
ホーニッグでのランチはワイナリー・オーナー宅の庭です。ホーニッグのほか、ペジュー(Peju)、ヘイヴンズ(Havens)が来ていました。
ホーニッグにて
一番右の女性がホーニッグのオーナー夫人ステファニーです。PRを担当しています。ホーニッグはドイツからの移民の家族でHonigとは蜂の意味。なのでラベルにも蜂の絵が描かれています。
ランチ
メニュー

ランチです。野菜がたくさん食べられてよかったです。トマトが美味しかった。
ワインはヘイヴンズのシャルドネとホーニッグのソーヴィニヨン・ブラン、ペジューのシラー・ロゼでした。

この日もかなり暑く、だいぶヘロヘロでワインのメモもちゃんと取っていなかったのですが、やはりロゼは夏に合いますね。いろいろな料理にも合わせやすいし、ドライなロゼを少し冷やして飲むのはオールマイティな感じがします。ホーニッグのソーヴィニヨン・ブランも爽やかでよかったです。

ホーニッグの畑
食後は隣接する畑を見せてもらいました。

ランチの後は、今回のツアーでは3回目のスタッグス・リープ・ディストリクトへ。今度はシルバラード(Silverado)です。小高い丘の上に立つワイナリーは景色もよく、とてもいいところです。

シルバラード
シルバラードのテイスティング・ルーム

ここではパネル・ディスカッションで、4つのワイナリーが、ナパの各地域のカベルネ・ソーヴィニヨンについて語りました。
パネル・ディスカッション
左からロンバウアー(Rombauer)のリッチー・アレン・ワインメーカー、コリソン(Corison)のキャシー・コリソン・オーナー兼ワインメーカー、タック・ベクストファー・ワインズ(Tuck Beckstoffer Wines)のタック・ベクストファー社長兼オーナー、シルバラードのラス・ウェイズ・ジェネラル・マネージャー、そしてモデレーターのマット・スタンプ・マスターソムリエです。

マット・スタンプ氏は10年前はナパのカベルネ・ソーヴィニヨンは皆同じ味がすると言われていたが、今はそうではないと語ります。今回はそれぞれ単一畑のカベルネ・ソーヴィニヨンで、その違いを見ていきます。

まず、シルバラードはGEOというカベルネ・ソーヴィニヨン。これはクームズヴィル(Coombsville)にあるマウント・ジョージという畑のブドウを使っています。

クームズヴィルはナパの中でも最も最近AVAになった地域。いわゆるナパ・ヴァレーからは南東方面に少し外れており、冷涼な地域です。クームズヴィルでカベルネ・ソーヴィニヨンというのはかなり意外な感じがしますが、山麓で標高が高く、霧がかかりにくい、いわゆる「フォグライン」より上の畑だからカベルネ・ソーヴィニヨンでも栽培できるのだそうです。ただ、気温が低いため、ブドウの実が熟すまでの時間が長く、スタッグス・リープ・ディストリクトに比べると収穫が2週間くらい遅くなるとのこと。

ナパとしてはかなりエレガントなカベルネ・ソーヴィニヨンで、ラズベリー、ブルーベリーなどの果実味と、ブラックペッパーなどのスパイスを感じます。タンニンはあまり強くありません。個人的にはかなり気に入りました。

醸造では、ドライアイスで冷やして、冷たい状況での発酵を20日間かけて行っているとのこと。18カ月樽で熟成して瓶詰めしています。

2番めはタック・ベクストファーでモッキンバード・ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤード。ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤードは、ベクストファー・ファミリーが管理する歴史ある畑の一つで。オークヴィルAVAの南のはずれにあります。東側にヨントヴィルの丘陵地帯が広がり、風が吹き抜けるところでもあります。

ワインはハーブの香りが印象的。青系の果実味が強く、ややタニックです。

ここでは、畑の水はけについての話が印象的でした。ミズーリ・ホッパー・ヴィンヤードは、ヴァレー・フロアですが、西のマヤカマス山脈につながる緩やかな斜面で、水はけがいいということでした。雨が降らないナパで水はけが重要なのかという質問があったのですが、ナパ・リバーに近いところだと、地下2~3mまで根が伸びると土が湿っており、ブドウは水を吸い過ぎてしまうとのこと。ブドウが吸う水をコントロールできる状況が必要なのだそうです。

ここの畑の収量は2.5トン/エーカーと少なめです。発酵は16日間。5~10%は樽で、残りはオープントップで発酵させます。オープントップの発酵はワインがソフトになるのに重要だとのことでした。

3番めはキャシー・コリソンさんです。女性ワインメーカーの草分けとして、多くの人から尊敬されています。カベルネ・ソーヴィニヨンはパワフルなワインと考えられていますが、キャシーさんはパワーとエレガンスの両立を目指しているそうです。

今回試飲するワインはKronos Vineyardのカベルネ・ソーヴィニヨン2012年です。なお、ヴィンテージはこれとシルバラードが2012年で、残りの2本が2013年でした。

Kronos Vineyardはワイナリーの周りにある寺社畑で1971年に植樹されました。

場所はセント・ヘレナ。ナパの中でも「サニー・セント・ヘレナ」と言われるくらいいつも天気がよく、気温も高くなります。カリストガが暑いと言われますが、カリストガの暑さはヒートスパイクと呼ばれる一時的な熱波が多く、セント・ヘレナはそれよりも平均的に暑くなります。

カベルネ・ソーヴィニヨンに青みを感じなくなるためには、かなりの熱が必要で、ここはそれを満たしています。また、夜は気温が下がるため、酸が維持されます。

アルコール度数を14%以下にするため、収穫は9月の第2週と早めにしています。周囲の誰よりも早く収穫を始めるそうです。

ワインは、ブルーベリーなど青系の果実味が中心ですが、ラズベリーなどの赤系の果実味も感じます。スミレの花の香りやミントやスパイスなどのアクセントもあり、パワーで押すワインとは一線を画した味わいです。

最後のワインはロンバウアーのアトラス・ピーク カベルネ・ソーヴィニヨン。アトラス・ピークはナパの東側のヴァカ山脈にあるAVA。スタッグス・リープ・ディストリクトの裏側といえばいいでしょうか。

畑の標高は1600~1700フィート。火山性の土壌でとても水はけがよく、ブドウの樹にとってはとてもストレスがかかる状況です。

山のワインはタンニンが強くパワフルになる傾向があります。しっかりとブドウが熟さないと非常にタニックになってしまうため、成熟したところから5回に分けて収穫しているとのこと。

ワインはさすがにタニック。今のナパでは珍しいくらいの作りです。

4つのワインの中では、個人的にはコリソンさんのワインはバランスよく、美味しかったです、またシルバラードのクームズヴィルのワインも予想以上においしく、この地域の可能性を感じました。
キャシー・コリソンさんと